この状態から3D CADって出来るんだろうか。出来ます。なんとか(笑)
ラフ図からのトレース、3D CADへのモデリング事例です。
これ、実はとてもよくある事例です。
手書き図面は敬遠されやすい?
もともと図面自体がなく、もっと言うと図面というもの自体を書いたこともなく、ただ何らかの理由で3Dの図面やビジュアルが必要となることってあると思います。
ただ、恐らくですが一般的な会社、CAD図面描きますという会社ではほぼ100%断られます。
僕も過去に何十社に連絡をして断られました(笑)
なぜ断られるのか?
単純です。
めんどくさいんです。
手書きの図面ということは、各所に寸法が入っていません。仮に寸法が入っていたとしても、手書きなのでバランスがおかしいことが
多いと思います。
そうすると、作図を始めた途端、矛盾が出てくるので、依頼者に確認の連絡を取ることが必然的に多くなります。
もともと数字が無いので、データのやり取りではなく、電話やTV電話でのやり取りになると思います。
もちろん、それ相応の時間もかかると思います。
つまり
面倒くさいですよね。
なので、一般的にはお断りされることがほとんどです。
手前味噌ですが、過去に自分が同じようにお断りされた経験があるので、
数年後に立ち上げた僕のCADサービスの会社では、ほとんどの依頼案件を断らないように心がけています。
前代未聞の依頼案件
これは私達が受注した少しハードな事例を紹介します。
それは一本の電話でした。
というようなやり取りの10分後に、その図面は送られてきました。
??
それがこれです。
壮大な仏具の図でした。
肝心な寸法も一部の箇所のみ。。
すぐに受話器を取ります。
あまり詳しくなくてすみません。それで、各所の寸法なんですが一部にしか記載がなく・・・・、たとえばこの部分に『10mm』と書いてあるのですが
・・・了解です。それで、その他の部分の細かな寸法ってわかりますか?
まじか!
まあ、数箇所でもベースになる寸法がわかれば、それをベースに他の箇所はそれにならって寸法を決めてよいのであれば大丈夫だと思いますが。。
それと、私も勉強不足なのでこの須弥壇の写真があれば参考ししますので送ってもらえますか?
須弥壇はオリジナルなので、同じものは無いのですがイメージできる写真を送ります。
そして参考写真が送られてきました。
ぜんぜんわからーん!
お客さんにも悪気はありません。
そもそも同じものが無いのですから。
ここからはGoogleで数十枚の写真をピックアップして細部を研究し、少しずつ探りながらモデリングしていくしかありません。
少しずつ整理していく途中で、この須弥壇の周りを構成していくいくつかの細かな仏具の図面も送られてきました。
これをどうやってモデリングしていくんだろう。。
引き受けてしまったからにはなんとかするしかなく、やはりしばらくはGoogle画像とにらめっこの日々が続きました。
確かにまったく同じものは内容で、それでもなんとなく似ているものはいくつかあったので、それらを参考にすることにします。
寸法に関しては、記載のある箇所をベースにして、それ以外は等倍でトレースしていきました。問題は図面では確認できない細部ですが、これも類似写真から想像でモデリングしていきました。
そして約10日後、出来上がったのがこちらです。
少ない資料の割には、手前味噌ですが細部まできれいにモデリングできたと思います。
さて、ここからが大事なのは、モデリングの費用です。
恐らく、普通に考えると・・・・
事前に頂いた写真資料を検証する時間、それと類似したもの・写真を探す時間、想定で360°のイメージを書く時間、
それをトレースし3Dモデリングする時間。
1日8時間としても最短でも5日から7日くらいはかかるのではないでしょうか。
一般的な部外の会社、つまり外注価格はオペレータ価格、つまり実際に作業する人の時給換算の4倍から5倍が適正価格だと言われます。
それは会社の家賃や諸経費、そして会社自体の利益が上乗せされるからですね。
そうすると、仮にCAD技術者の時給を換算すると2,200円だとします。
それを5倍、そして7日作業をすると
616,000円になります。61万円です。
私達のご請求額は27万円です。
格安でしょう?
けっこう大変な作業ではありましたが。。。。