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今さら聞けない3Dプリンタの基本とおすすめの種類

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橋本荘一朗
実は3Dプリンターがじわじわ来ています。3Dプリンタを上手に使いこなせば、世界に一つだけの自分のアイディアが形になります。自分のアイディアが世界で一つだけの形にすることが出来る、実は素晴らしい箱です。

3Dプリンタが我々一般に普及し始めてもうすぐ10年くらい経ちます。3Dプリンターの出現によって、それまでのモノづくりに革命が起きたと言っても過言では無いと思います。

それはどういうことかというと、これまで個人でモノづくりやガレージでDIYをしていた人たちはこの画期的なデジタル革命によって、個人からメーカーになることが出来るようになったからです

これまでは、個人が何かモノづくりのアイディアを持っていても、それをサンプルもしくは製品にしようと思ったときには、自分が工場主で無い限り、どこか専門会社にお願いしてつくってもらったりしなければなりません。

つまる、ある程度資本がないと基本的には難しかったと思います。それが3Dプリンタの出現によって個人のアイディアが簡単に形に出来るようになりました。

一番の魅力は金型不要なこと

例えば一般的な樹脂(プラスチックなど)で何かを作ろうとしたとき、必ずと言っていいほど金型が必要になります。金型はオス型とメス型に分かれていて、その間に熱した樹脂の粒子を流し込み、瞬時に水の冷気で冷やし固めて金型から取り外すという工程を経て樹脂製品は出来上がります。

 

金型は鉄の塊をマシニングセンタと呼ばれる切削機械で作るのですが、実はこの費用が馬鹿にならないんです。特に日本国内で作ると高額なので、中国やベトナムで作ることが多いと思います。

それでも、小さなもので数十万円、少し大きくなると普通に数百万円します。この金型代を製品の売上で回収しようと思うと、相当な数を販売しなければなりません。

また、この金型を使って、実際に樹脂を成型する工場も

「100個成型をお願いします。」

と頼んだところで、100%断られます。最低ロットがあるんですね。例えばミニマムロット1,000個とかになると、それ相当の費用も必要になります。

そう考えると、3Dプリンタは金型いらずで樹脂成型(プリント)が出来るのが一番の魅力ではないでしょうか。

基本的にどんな複雑な形状でも再現可能

たとえば、3Dプリンタが出る前は金型を使った樹脂成形や金属の削り出しなど、様々な加工方法がありますが、一体型では絶対に加工出来ない形が多数存在します。

例えばこれです。

渦を巻いている貝。

これは普通では一体型で成型出来ません。この形状を作ろうとした場合、どこかで分割して成型後に組み合わせて接着するしかありません。

しかし3Dプリンタの場合、熱した細い樹脂を下から積み上げて整形するので、基本的にはどんな複雑な形状でも一体型で再現が可能なのです。

また、成形する素材も初期はABSのような樹脂だけだったのですが、今は金属やゴムライク、ガラスのような素材まで選べます。

これまでのような試作が必要ない

アクセサリーやフィギュアづくりも簡単です。

これまでは樹脂で何かを作ろうとすると試作をする場合にも当然金型が必要でした。

そして修正が入ると金型を修正しそしてまたテスト成型をしていたのですが、3Dプリンタで出力すればこれまでのような試作が必要ありません。

コストカットや納期の極端な短縮も可能ですね。

3Dプリンタの欠点

成型速度が遅い

3Dプリンタの欠点といえば、まずはその成型速度です。

機種にもよりますが、0.01mmの積層ピッチで成型していくと大きさにもよりますが、結構な時間がかかります。場合によっては数日機械が動きっぱなしということにもなると思います。

では積層ピッチを大きくするとどうなるかというと、プリント時間は短くなりますが、成形物の表面が粗くなります。どうせ作るならなるべくきれいなほうがいいですよね。

ということは、大物の量産には向きません。

一体成型の大きさに限度がある

次に、ある程度大きなものは一体型で成型は出来ません。

各3Dプリンタのケースの大きさ以上のものは、分割して設計し、別々に出力して後に組み合わせる必要があります。

苦手な出力形状がある

また、「3Dプリンタはどんな形状でも再現可能」と書きましたが、実は苦手な形状があります。

例えばトンボの羽のように薄いものや、厚みのない細長いものは出力するのが難しく、破損しやすいというデメリットもあります。

3D CADデータが必要

基本的に3D プリンタは3D CADデータのSTLというフォーマットで動きます。ですので、自分のアイディアをCAD化するというハードルがあります。もちろん、データを作ってくれるサービスを行っている会社もありますので、そこを利用すれば良いと思います。

3Dプリントの種類

さて、次は3Dプリントの種類を紹介します。

いくつかありますが、ここは代表的な3つの種類を紹介します。

熱溶解積層造形

一般的に3D プリンターといえば、これが思いつきます。

プリンターのノズルから瞬時に熱されたフィラメントが放出され、それが積層され立体を形成する仕組みのプリンターです。

3D printer

一般家庭用にも使えるサイズで、安いものは3万円くらいから発売されています。

USBで本体にデータをいれて幾つかのスイッチを押したらプリントが始まります。

積層式で作るので、出来上がったプリントはこんな感じになります。

よく見ると、横方向にたくさんの細かな線が見えると思います。このピッチの細かさがプリンタ本体の値段に反映されてくるようです。

もちろん、出来上がった成形品はヤスリで表面を整えることも出来ます。入門機としては最適ですね。

光造形

あまり耳慣れない言葉ですが、実は3Dプリントでは一番古い技術です。

液状化した樹脂にUVの光を当てて硬化させるという仕組みのプリンタです。

3D printer

光造形プリンタは造形が終わったあとにアルコールで造形物をクリーニングするという手間がかかりますが、仕上がりはとてもきれいです。

写真は光造形後にクリア塗装を吹いて番手の細かなコンパウンドで磨いたものだと思われます。

写真の通り、かなりクオリティは高いと思います。

欠点は、プリンタ本体が数十万、プリント費用も比較的高価ということです。

ナイロン粉末焼結造形

なにか、舌を噛みそうな名称です(笑)『ふんまつ しょうけつ ぞうけい』と読みます。

これは簡単に言うと、ナイロン素材の細かな砂のような粒子が、公園の砂場のように敷き詰めてあり

そこにレーザーを照射し固めて成型していく方法です。

3D printer

ナイロン造形は基本的に業務用です。

ナイロン造形のメリットは素材が一番安価で成形品としての強度もあるということです。

ある程度厚みを出せば、そのまま実用品として利用できるレベルだと思います。

プリント直後は表面は少しザラザラとした感触ですが、研磨することもできるので、コスパが一番よい素材だと思います。

ただし、0.1mm単位の精度にはあまり向いていません。

一般的に、3Dプリンタの種類(方式)は一種類と思われている方も多いと思いますが、

実は幾つかの方式があり、素材と組み合わせると数十の組み合わせがあります。

これを機会に、ぜひものづくりにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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