僕が作ったものを世界中の人が手にするって、まさにドリーム。今回は展示会後、量産の問題に関して。
ものづくりの経験がまったくない僕が、いろんな問題にぶち当たっては乗り越えて次へ進む記事です。
※このシリーズの記事は通常の記事文章と違い、『非常に口が悪い』ですので悪しからず。
4月の展示会も非常に多くの好評を得て無事に終わり、しかし、翌日からは不安の苦悶に悩まされた。
量産をして販売をしなければ商売にならない。
そんなことはわかっているが、いくらデザイン性やクオリティが高くても、高すぎると誰も買ってくれない。
展示会では、うっかり「20万円〜30万円くらい」と言ってしまったが、
5掛けで販売店に卸すとして、卸値が10万円〜15万円。
仮に1つあたりの粗利益を5万円確保したとしても、
s製作原価は5万円〜10万円に押さえなければならない。
整理しよう。
主な材料
① A5052 国産アルミブロック40kg
② 国産、イタリア産 本革。
③ 内装用スウェード。
④ 特殊トルクヒンジ。
主な加工
① アルミ切削。(本体、ハンドル、ロックノブ、ロックプレート、小部品)
② 革裁断、縫製。
③ 加工したアルミのサンドブラスト、アルマイト処理。(一部ピアノ塗装)
④ ロックノブとロックプレートのダイアモンドカット。
⑤ 内装の裁断、縫製。
⑥ ロゴのシルク印刷
⑦ 箱、緩衝スポンジの製作。
これ、全部で5万円〜10万円で出来る・・・・?
出来るわけがない。
アルミの切削だけでも、国内で切削すると平均35万円という見積をもらっている。
なんだか、悩む以前の問題のような気がする。
単純に価格を100万円とかにしてしまうのは簡単だが、在庫のヤマになってしまうのは目に見えている。
どんなに高くても、30万円台だ。(すでに10万円も上がっている。。。(笑))
卸値を考えると、原価のデッドラインは15万円だ。
お気づきかもしれないが、
もうすでに、この時点で終わっている。
とりあえず、以前感じの良かった切削工場の営業さんに電話してみます。
例えば50個まとめてオーダーしたとしたら、例えば、1個あたりの切削費用を8万円くらいに抑えることって可能ですか?
アルミ切削だけでなく、革の断裁、加工工場、内装工場も無い。
金もなーい、コネもなーい、なーいなーい。。
火曜サスペンス劇場のラストシーンの断崖絶壁の上にいるような。。。
私の変な癖で、なぁんにも解決法が浮かばないときは、無理やり環境を変えて
根底から考え直してみるということがたまにある。
何も考えがまとまらないまま、展示会から1月以上たったころ
ふらっと一人でアジアの小国にいました。
プールサイドにいながら、青い空を見ているふりをして、
「何か方法はないか」考えます。
その日も同じようにプールサイドで友人に勧められたイーロン・マスクの本を読んでいたときのことです。
イーロン・マスクは、その道の有識者で無いにもかかわらず、電気自動車のテスラや、スペースXというロケット、宇宙船の計画を実行しているスティーブ・ジョブズのような天才で、映画「アイアンマン」のモデルにもなった男です。
そのマスクがスペースX事業をスタートさせる際、マスクはロシアにICBMロケットを買いに行ったが、結局買えなくて(売ってくれなくて)アメリカに帰国する件(くだり)を読んでいる時でした。
マスクは決断する。「ロシア製ICBMが手にはいらないのなら、自社で作ろう。」
・・・・?
どこも作ってくれないなら、
自分で作ればいいんじゃないか?
考えたプランはこうだ。
まずは中古の切削機械、5軸マシニングセンタを購入する。
その機械を必要としている町工場に無償で置かせてもらい、アルミフレームの切削を格安でしてもらう。鞄のアルミフレームの切削が稼働していないときには、その工場で自由に使ってもらい、そのかわりオペレータと電力を供給してもらう。
初期費用は莫大にかかるが、ランニングはアルミの資材費のみだ。
初期費用は金額にもよるが、何かの助成金と銀行の融資で賄えるかもしれない。
(出来るかわからないが。。)
このプランを頭の中で少し整理して、すぐに帰国しました。
まずはネットで中古のマシニングセンタを探します。
ところが、いくつのラインナップは出るもののの、価格はすべて空欄。??
それに、マシニングセンタと言っても、ものすごい種類がある。。
選べないし、値段も分からない。。。
これに関して、一人当てにしていた人がいます。
以前、展示会用のサンプルを作った時、軽量化の穴あけをした際に利用させていただいたメタルDIYを主催している関東精密の杉田社長だ。
無理は承知で、当たって砕けてみようと思い、彼と連絡をとり、
夕食に誘いました。
全然費用感が違っていた。。
どうする?
上代の設定を考えると、切削にかけられる費用は◯万円しか無いんです。
今までいろんな工場に見積を依頼したので、一般的な費用感は知っています。その上で、非常識な金額ということをわかった上で、なんとか相談させていただけば。。。
ただ、どうやって切削段取りを組めば切削時間を短くできるか、それを考えなくちゃいけないんですね。
なんて男気のある人なんだろう。
その食卓で、言い切れないほどのお礼を言い、なりふり構わず喜びを表現してしまった後は、韓国人のごとくたくさんの乾杯をした。
そして、そのあとは、自由が丘のキャバクラを二人ではしごしたのは、言うまでもない。
Yeahhhhhhhhh!
やっと、ひとつの課題をクリアした。
続けてどうぞ!次回がこのカバンづくりのシリーズ、最終回です。
橋本荘一朗初めて挑戦する『ものづくり』の挑戦記事のep15です。世界で最も美しいカバンを作るという目標をかかげています。僕が作ったものを世界中の人が手にするって、まさにドリーム。今回が最終回です。ものづくりの経験がま[…]